心の殺陣記 【偽島】郷里へ帰る 忍者ブログ
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岡山オフって需要あるのかな。
あるなら夏休みに開きたいと思っている。
夏休みっつっても盆以降だけど。

大阪オフ行けないんだよ…。
8/8~8/10に近代日本書道史の集中講義があってさ…。
…楽しみだけどさ…うん、楽しみなんだけどね……。
なんだろうこの悲しみ。すげー悲しい。









夕暮れの山奥。

やゑの前に影が差す。
その手には使い込まれた槌だけで、やゑは途方に暮れていた。


偽島では、何も持ち帰ることができなかった。

私はとても役立たずだと思う。
貧しい命の恩人を助けるため、宝物を見つけに偽島に向かったのに、
結局何も手に入れることはできなかった。

悔しい。
このまま家に帰って、月舟さんにどんな顔をしたら良い?
一つ一つ進む足が、段々と重くなる。
今すぐにでも、消えてしまいたい。

考える内に、ああ、家はもうそこに――ー







「やゑちゃん」



ああ



「おかえり」






私は、駆けていた。
思い切り走って胸の中に飛び込んだ。

「わああああああああ!!!!!」
「うん、うん。おかえり」

会いたかった、会いたかった!
涙はこぼれ、止め処なく止め処なく落ちる。
家を出る前よりも、月舟さんはもっと痩せ細っていた。
腕に感じるその感触に、私はもっともっと泣いてしまう。

「うわああああ…」
「やゑちゃん」

今は離れたくない。
冷たくて細いその体から、私の体を離したくない!!

「ごめんな、ごめんな、わたすわたす、何も持って帰れんかったんよ、何も持って帰れん、役立たずでほんと、ごめんなああ…」


私が謝ると月舟さん、私の頭をなでて言った。



「しんどかったね、えらかったね。
でも、私はね。お金や財宝なんかよりも、やゑちゃんが側に居てくれることの方が、良いんだよ。

やゑちゃんがいっつも私に笑ってくれるのが、それが何よりの宝なんだから」





そんなこと

そんなこと。







「うわああああああああ!!!!!」


私は、わんわんと泣いた。
今まで溜めていた涙が、全部全部流れ落ちてしまうんじゃないかってくらいに。

私はばかだ!
病身の月舟さんが、私をどんなに待っていたのか。
家を出て行った私を、どんなに心配してくれていたのか。
月舟さんの今の言葉で、それが痛いほどわかった。
だからこそ、祖母は私を止めたのに。
それを私は聞かないで。

「ほら、もう暗くなるよ。おうちに入って、ご飯食べよう?
野菊さんも、やゑちゃんのことずっと待ってたんだよ」

言い終わると同時に、月舟さんはゴホゴホと咳をした。
私は慌てて身体を離すと

「あっ」

…月舟さんの着物に涙や鼻水がべったりとくっついていた。
咳をしながらも、月舟さんは笑っている。
「気にしなくても良い」と、笑っている。

私は余程、ひどい顔をしていたのだろう。
優しくて大きなその手が、私の頭をもう一度なでた。

私が居ないことで、祖母にもどれだけ迷惑を掛けたか。
きっと、晩御飯を食べながら怒られるのだろう。

「月舟さん」
「ん?」
「もう一度、昔みたいに。手ぇ、繋いでくれん?」

手を差し出すと、彼は微笑んで握ってくれた。
私の手は、以前に比べるとボロボロになっていたけれど。
月舟さんはそれを嫌がらず、むしろ労わるように。


二人で手を繋ぎ、私は家へ帰った。


もうこの手を離しはしない。








「月舟さん、ばあちゃん。ただいま!」



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

というわけで、赤埴やゑの話はここでおしまいです。
月舟に関しては、偽島がどれだけ続くかで決めようかと思っていたのですが、
自分の作ったキャラにはできるだけ幸せになってほしいと思っているため、どちらにせよ月舟は死ななかったかもしれません。

これがやゑを続投しない理由です。

月舟の「やゑが側に居てくれればそれで良い」ですが、
彼はやゑが出て行く時に、これを言えなかったことをひどく後悔していました。
自分のためを想って決意をしたやゑに向かって、本音を言い出せなかったのでした。

楽しかった日々が急にしんとした日々に変わってしまったのが、
月舟の病気を悪化させてしまった原因でもありますし、
また、月舟を素直にさせる要因にもなったということです。


なーんて妄想をしてたのよ。ほんとはね。

定期ネトゲとキャラクターに関して、私は「その人の人生のワンシーン」として扱う場合が多いようです。
だってそっちの方が目的意識を持ちやすいんだものー。



よく言われますが、やゑと月舟は恋人関係ではありませんよ。
家族関係ととらえて頂ければと思います。
ツチノコはこの先不憫。

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