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ご依頼などの絵作業はおやすみ中。
春になったら目を覚まします。ごめんなさい。
夜になると熱が出るので、文章考えるのに時間がかかり過ぎる。
頭だか目だかが痛んで集中できーん。
フォーム横の漫画チャットの広告で、
1コマ目から女の子が「二次元の世界の住人になりたいなぁ…」って言ってるんだが、頭大丈夫なんだろうか。
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- オルゴールの魔術師 -
その館の中は、静まり返っていた。
照明は無く薄暗い回廊。
壁には沢山のオルゴールが積まれ、通路の端にも、私を出迎えるようにぎっしりとオルゴールが並んでいる。
静けさの余り、足を踏み出すのが躊躇われる。
少しでも歩みを進めれば、それらが一斉に鳴り出しそうで。
「ようこそいらっしゃいました」
緊張を打ち破るように、柔らかな女の声が響く。
私はハッとして声の方を見る。
声に見合う穏やかな笑顔。それが、この館の主人――― “オルゴールの魔術師”だ。
「それにしても、すごいですね。全部が一気に鳴るんじゃないかってくらいの、威圧感がある」
「当館では、古今東西どのようなオルゴールも取り扱っておりますから」
それだけ言うと、彼女は颯爽と歩きだす。
館の空気に見惚れていた私は、慌てて彼女へついていった。
オルゴールの一つ一つに手入れが行き届いているようで、埃をかぶっているものは一つとして無い。
それでいて、アンティークの色合いを帯びた姿。
彼等が群れるように横たわる姿は、まるで一つの絵画のようだった。
長いマントをひるがえし、呆ける私に彼女は微笑む。
「そんなに珍しいですか?」
「え、あ、はい。そりゃあ、もう」
「そうですか、それは良かった」
やはりそれだけ言うと、彼女はさっさと歩いていく。
…これだけのオルゴールに囲まれて、長い間暮らしていたら、きっと感覚も麻痺してしまうのだろうなあ。
もし彼女が蒐集家であれば、こんなに淡泊な態度はとらないだろう。
もっと興奮して私に語りかけてくるに違いない。
けれどもそれをしないのは、オルゴールは、彼女の“愛するもの”ではないということだ。
オルゴールは彼女にとって、ただの物体でしかないのだろう。
行き交う無関係な人の群れと、大差無い。
「この扉の奥に、あなたの求めるものが」
それでも私には、ある一つのオルゴールに対する、思い入れがあった。
大きな扉の前に、魔術師は立っている。
私はごくりと喉を鳴らした。
幼い頃に、一度だけ聞いた音色。
その音色がどうしても忘れられなくて、私はこうして彼女を訪ねた。
本来、魔術師の元を訪れるなど、正気の者がする行為ではない。
私は扉に手をかける。
オルゴールの魔術師は、微笑んだままだ。
彼女は一言「どうぞ」とだけ言う。
私に、迷いなど無い。
だが、ただ一度、もう一度……あの記憶の音を聴きたかったのだ。
懐かしい気持ちを思い出したくて。
亡くした頃の記憶を、感覚を、取り戻してみたくなって。
老婆は扉を開け、記憶の彼方へと旅立つ。
――― 館に残されたのは、魔術師ただ一人。
魔術師は笑う。
「そういう感覚を人間の皆さん、お持ちでいらっしゃいますけど…。私にはわかりません。
曖昧で、漠然とした懐かしさ。その懐かしさは愛おしくもあり、苦しくもある。
手探りで記憶を辿っても、一体いつどこで、その感覚に触れたのか…。
そういった感覚、永遠を生きる私達には、備わっていないのでしょうね」
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オルゴールの魔術師。あるいは、記憶の魔術師。
オルゴールというと郷愁のイメージがありますが、
私の記憶にあるオルゴールと言えば、ディズニーのオルゴールです。手で回す奴。
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