心の殺陣記 一日一題 18 忍者ブログ
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毎日更新じゃなくなってるけどね…。

PCと向かい合う時間が、体が楽な状態限定になっているので、
どうにも進めることができず申し訳無いです。

本当は、春休み中に小説とか絵作業ももっと進めたかったんだけどなあーorz


絵はらくがき。やっとリハビリ終わったかんじです。



幼いかんじの絵が描きたかった。気付いたらラグルムになっていた。


数日前に気付いたけど、書庫長編の「人物紹介」にあるラグルム、衣装間違えてる。



- 毒の魔術師 -

その魔術師の家の庭には、大きな木が生えていた。
木は何十年も何百年もそこに在ったようで、
けれども若々しい葉を、散らすことなく広げている。

私は木の根元から、生命をたぎらせている樹木を眺める。
木には果実が生っていた。
ラ・フランスに似たその果実は、しかし私の目には毒々しく映った。

そんな私の頭の中を覗いたように


「その実、毒だよ」


彼はそう言って笑った。


「別に、食べてもいいけど。食べたら助からない」

どうしてそのような果実を作るのか。
私は彼に尋ねる。

「助からない果実が欲しいからさ」

当然だ、と彼はまた笑う。

“助からない果実が欲しい”…そのような状況が、あるのか。
彼は頷く。頷いて、私の無知を笑った。

「君はまだ生まれて間も無い赤子だ。毒の有用性を知らないのも、無理は無い」

ならば、なぜ笑う。

「笑うのは、魔術師だからだよ」

私はムッとした。その言葉は、私達人間と“魔術師”を隔絶する言葉だ。
自分達は遥か高みに居る―――。そのような、言葉だ。


「毒は」


果実を手に取る。
毒の果実。


「毒は、果実だ。果実は毒だ」


それを魔術師は、投げて寄越す。
地面に落ちたその果実を、私はじっと見つめていた。

「言葉すらも甘い果実。けれど、毒なんだよ。この世は、ただの毒の塊だ」


そんなことはないだろう。この世は、そこまで絶望した世界ではないはずだ。


「例えばそれが、とても甘くてみずみずしく、美味しい美味しい果実だと言われたら君はどうする?」


そんなこと言われても、毒を食べるわけがない。


「そうだね。でも、君がとてもお腹を空かせていて周りに食べ物も何も無くてああもう死ぬしか無いってことになったら、君はその果実を食べるんじゃないかな」


それは、その時になってみないとわからない。



「今がその時だっていうことに、君は気付いているの?!」




魔術師は笑う。

まるで生まれたばかりの、赤子のように。
私の泣き声と重なるように。


「生まれて間も無いのに、死ぬしかない絶望を与えられるなんてね!」



哄笑で満ち溢れる庭。
その庭に捨てられた赤ん坊の口に、彼は果実をねじ込んで、ねじ込んで、ねじ込んだ。



*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*

毒の魔術師。




最初描いた時は、果実を手に持った、普通の男の子だったはずなんだけども。
文章にしてみたら性格悪くなりました。反省。

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