心の殺陣記 一日一題 12 忍者ブログ
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絵描いてたら、昨日の一日一題忘れてた…!!




絵は内容と全く関係ない、落書き。

ここまで描いてはいるけど、清書はしないだろうな!!




- 心臓 -

暗がりの中に、大きな木箱が置かれていた。
大きな箱からは桃色の布が飛び出ていて、先程からもぞもぞと動いている。
桃色はまさに桃のような形をしているが、しかし布の裾からは、二本の細い足が伸びていた。

「うーん…」

声がしたかと思うと、布はむくりと身体を起こす。
幼い可愛らしい顔は埃だらけ、桃色のワンピースも、上半身だけ色彩がくすんでしまっていた。

「無いなあ」

少し機嫌が悪そうな声で、箱を覗き込む。
少女の身長の半分もある大きさの箱は、どう見てもおもちゃ箱ではない。
むしろ箱の中には、刺激が過ぎる物体や物騒な物体が、ごちゃごちゃとひしめき合っていた。

「店長ったら、どこにしまっちゃったんだろ」

可憐な唇をすぼめて言うが、その顔にはどこか焦りが感じられた。
埃のまとわりついた額にはうっすらと汗がにじんでいる。
それに気がついたのか、少女は白い腕でそれを拭う。
埃が汗を吸って固まり、床の上にぽたぽたと落ちた。

ふう、と息を吐く。どこか、苦しそうに。


暗い部屋の中、木箱を背に、少女は座りこむ。
もう一歩も動く気は無いのだろう。手も足も投げ出して、ゆっくりと目を閉じる。


「―――……疲れちゃった」



そう一言呟いて、彼女は目を閉じた。












バタバタとうるさい足音が響き。
暗い部屋に、淡く光が灯された。
橙色に染められる影は、黒髪の長身の男。烏のように黒いロングコートを着ていて、同じ色瞳に眼鏡を掛けていた。つまるところ、全身黒色である。

どこか怪しげな雰囲気を漂わせる男は、息を切らせていた。
彼を初めて見る人ならば「何かに追われているのだろうか」と勝手な想像をしてしまうかもしれないが、
けれども男は、誰かに追われているわけではなかった。


「いけないいけない…」


ぐるりと部屋の中を見渡す。

部屋の中は、この店が『何の店であるか』というのを、全く示そうとしていなかった。

天井から吊るされた、茶色い蛇……ただし、目が3つある。
棚の上に置かれた瓶……真っ赤な臓物の入った。
他にも『河童の手』『蝙蝠の羽』『魔女の眼球』など、黒魔術にでも使うのかと言わんばかりの品々が、目白押しである。

その中で、男は大きな木箱の前に近寄る。
ぐったりと座り込んだ少女に触れると、ひんやりと冷たい感触が手に伝わり、男は溜息を吐いた。

「…忘れていた」

それだけ呟くと、男は店のカウンターに備え付けられた引き出しを開ける。

取り出されたのは、土塊。
土なのにやたらと生々しい雰囲気をまとい、しかも脈打っている。
その大きさは心臓と同じくらいで……そう、それはまさに、土の心臓なのである。

「土塊心臓って、もつのは2年だっけ…?」

首を傾げながらも、妙にグロテスクな物体を少女の手に握らせる。
傍から見れば何のプレイかと問いたくなる光景だが、
土の心臓は少女に素早く根を張り、その身体に溶け込んだ。


同時に、少女の瞼がゆっくりと開けられて。


「やあ、ごめんごめん。やっと、帰ってこれたよ」


男は小さな身体を抱きしめる。
ぼんやりとした顔で、だが少女の手は、確かに男を受け止めていた。


「……おかえり、店長!」



*/*/*/*/*/*/*/*/*

犯罪じゃないです><

以前「オリジ書きさんに100の御題」を書いていた時のキャラクターより。
なんでも屋の店長と土塊心臓の少女の話。


店長はロリコンではない。むしろ熟女趣味です。
そこにあるのは恋愛感情というよりは、家族愛。

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