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姉が急な転勤で、昨日名古屋に旅立ちました。
一日で戻ってくる夢を見た。
それは数年前の話だ!と起きてから自分で自分に突っ込んだ。
(数年前、姉は精神病棟に入院し「あそこは地獄だ」と1日で戻ってきたことがある)
寂しいですねーと周りは言うし、本人もなんかボロ泣きしてたらしいのだけども。
私が寂しいなんて言うと、姉もっと泣くじゃない。
そりゃー、生きている内にあと何度会えるか知らんし、
その時間を計算なんていう無粋なことをすれば、本当に刹那でしかないと思う。
幼い頃は、何も考えずにちゃーちゃー言いながら過ごせたもんだが、
大きくなるにつれ、一つ一つを大事にしていかなくちゃなあと怖くなる。
人の生ってそんなものよね。
ちょっと時間があるので、ぼちぼちと一日一題。
一日で戻ってくる夢を見た。
それは数年前の話だ!と起きてから自分で自分に突っ込んだ。
(数年前、姉は精神病棟に入院し「あそこは地獄だ」と1日で戻ってきたことがある)
寂しいですねーと周りは言うし、本人もなんかボロ泣きしてたらしいのだけども。
私が寂しいなんて言うと、姉もっと泣くじゃない。
そりゃー、生きている内にあと何度会えるか知らんし、
その時間を計算なんていう無粋なことをすれば、本当に刹那でしかないと思う。
幼い頃は、何も考えずにちゃーちゃー言いながら過ごせたもんだが、
大きくなるにつれ、一つ一つを大事にしていかなくちゃなあと怖くなる。
人の生ってそんなものよね。
ちょっと時間があるので、ぼちぼちと一日一題。
- 林檎の樹 -
少女は、樹を見上げていた。
見上げて、それはそれは困った顔をしていた。
何に困るかと言えば、少女の大事なものが、風にさらわれ林檎の樹にとられてしまったのである。
林檎の樹は、彼女を見下ろしていた。
別に優越感を感じているわけではない。
単純に、少女よりも樹の方が、背が高かっただけのこと。
大した高さではないものの、彼の頭に手を届かせるには、少女の身長はあまりにも小さ過ぎた。
「か、返して下さい」
か細い声で少女は言う。
そうは言われても、樹は困る。
考えればわかることであるが、樹に話しかけたところで、樹が動くだの喋るだのができるわけではない。
けれど、少女はそれを考えられる程、冷静ではなかった。
「大事な帽子なんです」
だから、そう言われても―――。
樹は悩む。
平然と立っているように見えるが、その内面は苦悩に満ちていた。
…少女を助けてやりたいのは山々である。しかし、助ける術が無い。
もう一度、風が轟とでも吹けば。或いは、なんとかなるかもしれない。
「お願いです」
ああ、もう、泣きそうだ。
できることならば、泣いてほしくはない。
雨は好きだ。だけど、涙は苦手だ。
樹は、小さな女の子の体を抱きしめたくなった。
できることならば、涙を落としてほしくはなかった。
地面に涙が落ちれば、樹はそれを吸い上げざるを得なくなる。
そんな気持ちだけは味わいたくない。
考えを、根のように枝のように葉のように、精一杯に廻らせる。
少女が泣かないように。どうにかこの洒落た帽子を返せないものか。
ふと、樹は帽子の引っかかった枝を見た。
枝の先には、赤く美味しそうな林檎が実っている。
それを見てある考えが思い浮かんだ。
「帽子…!」
手を伸ばす少女の手のひらに、帽子がぽすりと落ちてきた。
驚いて、少女は帽子を見つめる。
白い帽子の中には、赤い林檎が入っていた。
取り出して、彼女は林檎の樹を見上げる。
「ありがとー」
ぽろり。
少女の目の端から、とうとう涙が零れ落ちた。
えへへと照れたように笑い、白い帽子を被る少女。可憐でとてもよく似合っていた。
少女は赤い実をポケットに入れて、背を向け走り出した。
その後姿を見送りながら、林檎の樹はさやさやと葉を鳴らす。
少女の涙は、林檎の蜜のように、甘い味がした。
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ロリコンと言う勿れ。
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